Free旧富士山測候所が存続ピンチ 運営NPOの三浦理事長(八戸出身)CF支援募る

旧富士山測候所の存続に向けて支援を呼び掛ける三浦和彦さん=東京都新宿区の東京理科大
旧富士山測候所の存続に向けて支援を呼び掛ける三浦和彦さん=東京都新宿区の東京理科大

富士山頂の旧富士山測候所が存続の危機に立っている。多彩な研究で世界的成果も挙げているが、運営するNPO法人「富士山測候所を活用する会」(東京)が新型コロナウイルスの影響で今年の夏季観測を断念、収入の柱だった利用料が途絶えた。同会が解散すれば利活用の道が閉ざされる可能性もある。7月から理事長を務める東京理科大教授の三浦和彦さん(65)=八戸市出身=は「青森の方も関心を寄せてほしい」と訴え、クラウドファンディング(CF)での支援を呼び掛ける。
 2007年に始まった夏季観測には延べ5千人以上が参加し、19年には過去最多となる42のプロジェクトを展開。雷の詳しいメカニズムや高山病研究といったテーマは多岐にわたり、最近では早稲田大の大河内博教授によって高度約4千メートルに浮遊するマイクロプラスチックを世界で初めて観測し、地球規模で大気汚染が進む実態を突き止めた。
 大気エーロゾル(微粒子)と気候変動の関わりを研究する三浦さんにとっても、排ガスなどの影響を受けにくい山頂は打ってつけの環境。同様の施設を民間主体で運営するのは世界でも珍しいが、厳しい台所事情の中で守り続けてきたのは「無限の可能性を秘めた研究の宝庫」(三浦さん)という自負があったからだ。
 ところが、新型コロナの脅威は日本最高峰にある場所まで押し寄せた。施設内は「3密」回避が難しく、観測を強行して感染者が出ると過酷な環境で症状悪化を招く恐れもあった。中止を余儀なくされると同時に利用料収入が見込めなくなり、民間の助成金や寄付を充てても約1800万円の活動費を賄いきれない窮地に陥った。
 もっとも、完成から約50年が経過して施設は老朽化が進む。山裾から延びる送電線も含めて同会が維持管理しなければならない中、6月下旬から始めたのがCFだ。支援の輪は徐々に広がり、当初の目標を突破後の現在は600万円を新たな目標に協力を呼び掛ける。
 三浦さんは「ここから広く日本、世界中で役立つ成果が生まれており、青森の暮らしにも実はどこかで貢献している。注目を集めることで、国として再び維持管理するよう働き掛けたい」と力を込めた。支援に関する情報は同会ホームページ(https://npofuji3776.org)へ。