Free【あの日の天鐘・震災3日目】2011年3月13日 

本紙1面のコラム「天鐘」は東日本大震災をどのように伝えたか。震災3日目3月13日の朝刊より。

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 未曽有の大災害となった東日本大震災から一夜明け、続々と伝わってくる全国各地の惨状には目を覆うばかりだ。地震よりも津波が被害を拡大させている様相だ▼東北地方を中心とした死者・行方不明者の数は、時間の経過とともに増える一方だ。犠牲になった多数の方々には、突然の不幸に言葉もない。行方不明者の安否も気遣われる▼依然として余震と津波が続いている。まずは身の回りの安全を確保し、冷静な行動を心掛けたい。避難所から無理に自宅に戻って被害に遭う場合もある。地震も津波もいずれ収まるのだから、慎重さこそが知恵である▼八戸市などで多くの人が避難所で眠れぬ夜を明かした。車中で過ごした人も多い。停電で暖房器具が使えず、寒さや不安で疲労もたまってきている。暖をとるにしても、毛布などの救援物資を受けるにしても、体の弱い人、高齢者、子どもを優先した思いやりが大切だ▼食料や飲料水確保のため、スーパーやコンビニに多くの市民が詰め掛けているが、ほとんどが閉店状態。停電や都市ガスの完全復旧はめどが立っていないが、水道は使える家庭もある。自宅に何があって何が無いのかをまず確認し、焦らずに行動したい▼こんな時こそ近所同士の助け合いが地域の大きな支えだ。被災を免れ余裕のある方は、隣近所と食料や生活物資を分け合ってほしい。かつてない大災害で行政も手いっぱいだ。市民のボランティア精神が地域を救う。

 
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