Free【みちのく生き物観察記】ニシン

刺し網から抜き取ったばかりの尾駮ニシン=六ケ所村尾駮、3月
刺し網から抜き取ったばかりの尾駮ニシン=六ケ所村尾駮、3月

ニシンといえば海のものだが、六ケ所村の尾駮沼には全国的にも珍しい湖沼性のニシンが生息する。汽水湖の尾駮沼のニシンの成魚は30~40センチほどで、普段は太平洋の北海道側で採餌するが冬になれば産卵のため尾駮沼に遡上するという。

 藻などに産み付けられた卵がかえり、ある程度成長すると海へ出て4年ほどで沼に戻り産卵するようだ。サケなどとは違って産卵後もニシンは生き続け、回遊する。

 一時は生息数が激減し、尾駮沼系群ニシンとして青森県の地域限定希少野生動物に指定されている。地元の漁協が2年ほど休漁をしてからある程度は回復しているそうで、現在も県の許可を得て3月の半月だけ漁が行われている。

 刺し網にかかったニシンは虹色に体を輝かせるが、すぐにうろこが剝げて弱ってしまう。周辺の湖沼はむつ小川原開発で環境が激変したこと、また周辺の風力発電などの建設による環境への影響が懸念される。

 
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