Free八戸赤十字病院に恩返し 元患者松本さん紙製品寄贈 闘病中の子どもたち激励

恩返しと感謝の気持ちを込め、八戸赤十字病院に紙製品を寄贈した松本康孝さん(左)
恩返しと感謝の気持ちを込め、八戸赤十字病院に紙製品を寄贈した松本康孝さん(左)

小児科の患者が入院する八戸赤十字病院の「3B病棟」。かつて入退院を繰り返した八戸市の松本康孝さん(46)は2月27日、病院に折り紙や画用紙など紙製品を寄贈した。今は元気になり、紙や包装資材を取り扱う「紙とパッケージまつもと」を経営し、恩返しと感謝の気持ちを表すため初めて行った。「子どもたちが紙に触れ、『何か作ってみたい、描いてみたい』という意欲につなげてほしい」と、治療に励む“後輩”にエールを送る。

 生後6カ月で百日ぜきを患い、生死の危機にひんした。周囲からは「助からないかもしれない」と言われたものの、奇跡的に回復。だが、小学3年の頃に腸閉塞を発症し、原因を取り除く手術をする22歳まで、入退院を繰り返した。

 手術の際、担当医から「苦しい手術になるが、元気な体にする。将来は世の中に役立つことをしてほしい」と激励され、勇気をもらったという。

 「健康に過ごし、仕事ができているのは医療従事者のおかげ」と実感。紙製品が高騰しているにもかかわらず、闘病中の子どもたちのために、商売で取り扱う紙を無償提供することを決めた。

 折り紙や画用紙をはじめ、ペーパークラフト用の素材、名刺サイズのメッセージカード、色模造紙、和紙などを用意。入院患者をはじめ、外来患者にも幅広く活用してもらいたい考えだ。

 現在、3B病棟に入院する小児科の患者は平均2~3人。寄贈式で目録を受け取った箱石陽子看護部長は「新型コロナウイルスの影響で面会制限があり、決まった空間でしか生活できない入院患者にとって、紙を使って創造できる遊びはうれしいはず」と謝意を示した。

 松本さんの経営理念は「世の為(ため) 人の為(ため)」。それを実践するように、八戸三社大祭の賣市附祭山車組委員長、地元消防団の班長を務め、地域貢献に汗を流す。

 「私ができるのは紙の魅力を伝えること。作品を作れば気持ちが明るくなる。楽しい時間を過ごしてほしい」。元気に遊ぶ子どもたちの姿を思い浮かべた。

………………………………………

※地域のニュースはデーリー東北で。まずはアプリをダウンロードしてお試しください。無料コンテンツもたくさんあります。
https://www.daily-tohoku.news/user-guide-app

 
お気に入り登録