Free漂着の標柱“持ち主”の元へ タイムカプセルの行方は・・・?/八戸

標柱をきっかけとした再会を喜ぶ、卒業生と当時の教員=11日、八戸市

先月、八戸市白銀町の市第3魚市場前に流れ着いたタイムカプセルの標柱は、市立湊中の生徒が卒業記念で設置した物だった。卒業生と当時の教員らが11日、標柱を引き取るため市水産事務所に集結。「不思議な縁に感謝したい」。卒業から20年が経過し、それぞれの人生を歩んで大人になった当時の生徒たちは、旧友や恩師との予期せぬ再会を喜んだ。

 長さ2メートル弱の標柱は5月25日朝、海面に浮いていたのを魚市場職員が発見し、市水産事務所が保管。「タイムカプセル 十年後の再会を誓って」という文字、開封予定日、生徒数などの記載はあったが、学校名など持ち主につながる情報は書いていなかった。

 翌26日、本紙の報道に驚いたのは、2002年3月に卒業した生徒たち。「自分たちの物ではないか」と話題になり、市に引き取る旨を連絡した。

決め手は思い出の行事  

卒業生によると、標柱に記された「『がんばるおれたち』」の文字は、2年時に奥入瀬渓流周辺を30キロ歩く学校行事の際に掲げた学年目標で、特定の決め手になった。

 タイムカプセルは学校敷地内に埋めた10年後の11年夏、卒業生らが集まって開封した。一方、標柱が港に流れ着いた経緯は不明という。

 この日は卒業生8人と当時の教員4人が市水産事務所を訪問。代表して卒業生の土岐真喜子さん(36)が標柱を受け取った。

 現在、市内で書道講師を務める土岐さんは、標柱を制作した際に文字入れを担当。「見覚えも書いた覚えもあったので、漂流していたと知って本当に驚いた」と振り返る。

 引き取りの前後には、恩師や旧友と当時の思い出や近況を語り合い、「卒業から20年がたち、何らかの巡り合わせがあったようにも思う。先生方に元気な顔を見せられたのはうれしい」と笑顔を見せた。

不思議な縁に感謝    

当時、この学年を受け持ち、現在は市立小中野中教頭の森外勇一さん(52)は「元気な学年。卒業式では、大泣きしながら感謝を伝えてくれた子たちだった」と目を細める。

 教え子らへの連絡を担ったが、仕事や子育て真っ最中の世代ということもあり、予定が合わない卒業生が多かった。それでも「卒業後、生徒たちがそれぞれの人生を歩み、頑張っていることを改めて知る機会になった。拾って保管してくださったことや、不思議な縁に感謝したい」と感慨深げに語った。

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