日韓関係 冷静な協議を

日韓関係が、元徴用工訴訟や海上自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射の問題で悪化の一途をたどっている。
 元徴用工訴訟で韓国最高裁は昨年10月、新日鉄住金に計4億ウォン(約4千万円)の支払いを命じた二審判決を支持し、判決が確定した。これを受け地裁支部は今月8日、原告側が申請した差し押さえを認める決定をした。
 元徴用工側は、新日鉄住金側が協議に応じなければ差し押さえた資産の売却を進めると圧力を強めた。そうなれば事態はさらに悪化する。
 1965年の日韓請求権協定で個人請求権問題は解決済みとする日本政府は、安倍晋三首相の指示で協定に基づく政府間協議の開催を韓国政府に要請した。請求権協定に基づく協議を日本側が求めたのは初めてだ。
 最終的には国際司法裁判所(ICJ)への提訴も視野に入れており、そうなれば日韓の対立は泥沼化していきかねない。
 韓国の文在寅大統領は年頭記者会見で、元徴用工訴訟を巡り、三権分立の原則から韓国政府は司法判断を尊重しなければならないと表明。「日本政府はもう少し謙虚な立場を持たねばならない」と指摘した。
 日本側が求めた政府間協議については答えず、具体的な対応策も示さなかった。
 これに対し菅義偉官房長官は「韓国側の責任を日本側に転嫁しようというものであり、極めて遺憾だ」と述べた。
 海自哨戒機へのレーダー照射問題でも対立が深まっている。
 防衛省は、韓国海軍駆逐艦が海自哨戒機にレーダー照射したと発表した。しかし韓国側はこれを否定し、海自哨戒機が駆逐艦に向かって低空飛行をしたと反論した。
 日韓ともに自らの立場を主張する動画を公開し、事態はエスカレートしている。
 日韓防衛当局の実務者は昨年12月27日にもテレビ会議を実施していたが、翌28日に防衛省が映像を公表し、韓国側の反発を招いた後、協議は行われなかった。今月14日に日韓防衛当局は、レーダー照射問題を巡り実務者協議を開いたが、話し合いは平行線に終わった。
 日韓は北朝鮮を巡る情勢の中で協調する必要がある。
 韓国は3月1日、1919年に起きた抗日民族運動「3・1独立運動」から100周年を迎えるなど、歴史問題が焦点になる状況にある。
 日本も緊張を高めるような言動を控えるべきだ。冷静な協議を通じ問題を解決していく必要がある。