ルポその1〜チラシも大切! 配達前の一仕事

大きな作業台が置かれた作業室に明かりがともされると、配達員の男女が「おはようございます」などと言いながら続々と集まってくる。程なく店の前にデーリー東北新聞社本社からのトラックが到着し、刷りたての真新しい新聞が引き渡される。一気に仕事のスイッチが入った感じがする。
配達と一口に言っても、当たり前だがやみくもにどこでもいいから配って歩くわけではない。ニュータウン店全体の購読者のデータを基に一人ひとりの担当エリアがきちんと割り振られ、その日配達する部数が正確に決められている。
新聞が着いたら最初の仕事は、それぞれの担当部数に合わせて新聞1部ごとにチラシを挟み込んでいく作業だ。新聞にはチラシが付いてくるのが当たり前−とぼんやり考えていたが、なるほど、こうやって配達直前にセットしているんだ。配達員の皆さんは作業台の決められた自分のスペースに着き、チラシの山から1部ずつ手に取って、慣れた手つきで黙々と新聞に挟んでいく。
後から聞いた話では、その日にどんなチラシが何枚入るかは事前に決まっていて、何種類ものチラシを「1部」分ずつ組み合わせていく作業が日中に行われる。それを専門に担当する人もいるという。作業室にはチラシを組むためだけに使う、人の背丈より大きな専用の機械も置かれている。新聞配達にはいろんな人たちが関わり、分業で進められていることが分かる。
チラシの挟み込みが終わったら、いよいよ配達へ出発だ。
横浜店長は語る〜「デメリット? うーん…」

自身もいくつか職業を経験した後で、十数年前に「副収入が欲しくて」新聞配達の道へ。学生時代にアイスホッケー部だったので朝練は慣れたもの。早起きには抵抗がなかったという。一昨年にはデーリー東北販売(株)の正社員となり、昨年から現職。身長180㎝を超えていて体格もがっしりしているから、いかにも頼りになりそうな感じ。現在は配達に加えて配達員のローテーションや給与計算、会計全般、昼のチラシ作業、その他対外的な仕事も含め、大車輪で店全体を切り盛りしている。ちなみに、八戸ニュータウン内なら全ての配達先を記憶しているという、つわものでもある。
同店の配達に関わる従業員は計11人。30代から70代の男女だ。新聞配達と聞くと、時間帯が時間帯なだけに体力的にキツいイメージだが、「睡眠時間の問題さえクリアできれば、メリットはいくつもありますよ」と笑顔を見せる。
早起きして収入アップにつなげるのももちろんだが、①1人で配達するので必要以上に他人に気を遣わずに済む ②原則として服装は自由 ③早朝の運動にもなる−などがよく言われる利点だという。給料にしても、働く時間帯により深夜割増が付くし、慣れてくればスピードアップで早く配達を終わらせられるようになるので「効率よく稼げる」とも。ニュータウン店では一人200部前後を担当するが、配達時間が2時間を切る人もいるようだ。
では、注意点とか、デメリットってどうですか? 横浜店長は「雨風雪などの荒天は大変だけど、それは仕方ないです」と苦笑いした上で、「うーん…まず、確実に靴の減り方が早いことかな。それと冬場は路面が凍っていて滑りやすいので運転も歩きも注意が必要です。あと、今は庭先に張ったクモの巣が死ぬほど嫌だな」。うーん…なるほどね。
ルポその2〜いよいよスタートも、階段でふうふう

スタート直後、辺りはまだ真っ暗。寝静まった住宅街だからなるべく音を立てず、でも段差や思わぬ障害物があることもあり慎重に足を進める。今の季節は暗い時間帯も気温が高め。車を降りると走ることが多いから、すぐに汗だくになる。アパートなど階段が多いところはなおさらだ。息を切らしていたら「大丈夫ですか」と心配されてしまった。やれやれ。ふうふうと息を荒くしつつ、配達先の方々に失礼ながらまた毒づいてしまう。もう、この階段っ!。
ポストに新聞を入れるだけとはいえ、どうでもいいわけではない。家庭によってリクエストもまちまち。例えばポストではなく風除室の中のカゴに入れてほしいお宅。玄関の新聞受けでも「3分の2ほど入れたらそこで止めてほしい」派。逆に「奥まで入れて落としてほしい」派。いろいろなニーズをきちんと頭に入れ、注文通りに届けていく。順路帳の地図に書き込みながら覚えていくのだという。すごーい!
今は一年で朝が最も早い季節。徐々に空が明るくなる。気付けば小鳥がさえずり始め、木々の香りがグッと濃さを増す。「鳥の鳴き声が、春先はウグイスなんだけど今はカッコウ。季節の移り変わりも感じられますよね」という横浜店長の言葉を思い出した。ここまでで半分。緑の息吹を吸い込んだめぐみさんが「さあ、後半戦。元気を出していきましょう」と気合いを入れ直す。は、はいっ。ふうふう。
女性たちが大活躍〜「痩せますよー😁」

今回同行させてもらっためぐみさんは一児のママだ。髪の色が印象的で、定期的に染めて変化を楽しんでいるそう。今は明るくてグレーがかったベージュ。ネイルもバッチリ決めていて、華やかな感じだ。昼間は配達の時とまた雰囲気が違う。
子どもはまだ小さいが、幸い夜の寝つきがいいのでその時間を活かす仕事としてニュータウン店を訪れたという。今では社員として1年経過。主任という役職を任され、日中もさまざまな面で横浜店長をサポートしている。睡眠時間を十分確保するのがなかなか大変だが、夫の理解と協力を得られてずいぶん助けられているという。「夫と子ども、そして会社に感謝です。週末にはお休みもいただけますし」☺️。
苦しい場面ってあります? 「新聞配達は早起きでつらいこともあるし、大雨や吹雪に当たると正直泣きたくなることも…」。
「でもですね」と、めぐみさん。「玄関先で鉢合わせした方から『おはようございます。いつもありがとう』と声をかけられることがあって、とても励みになります」。それだけではない。風除室がすてきな香りに包まれた家。人気のキャラクターたちが飾られたお宅。「窓越しに待っててくれるネコちゃんや、じっと見守っててくれるワンちゃんも。決してつらいだけじゃなくて、癒やされるチェックポイントがちょこちょこあるんです(笑)」。
最後に「私にとって新聞配達は、お金を払ってジムに行くより、お金を稼ぎながら痩せられるのでいい仕事ですよね。おかげでご飯も美味しく食べられます😆」と笑顔を見せた。
ルポその3〜ようやく配達終了!

「このお宅が最後です」と言われ、思わずホッとした。車内を見回すと、218部あった新聞紙がピッタリ残り1部になっている。手に取って玄関先に走り、ポストに押し込む。新聞が落ちてコトッという音が聞こえる。
「毎日配達が終わったという達成感はありますか」と、店に戻ってから横浜店長に尋ねてみたら、「いや、そんな感動的なもんじゃないですよ。ただ、配達員が全員けがもなく無事に帰ってくれれば、それが一番ホッとするかな」。さすが店長。なるほどね。
最後まで同行取材させてもらって感じたことがある。配達員の方々は毎日あのコトッという音と一緒に、デーリー東北の読者に新しい朝を、北奥羽の新しい今日の始まりを届けているんだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ デーリー東北販売(株)にはニュータウン店=0178(70)2351=に加え、東部店(八戸市鮫町)=0178(33)6716=、北部店(同沼館地区)=0178(44)8388=、階上店(階上町)=0178(38)1340=、五戸店(五戸町)=0178(20)9062=の計5店舗があります。
この他にも、北奥羽各地にデーリー東北の販売店があります。配達に興味のある方は、お近くの販売店にお問い合わせください。
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