Free岩手の世界遺産一堂に 御所野遺跡など3地域の取り組み発表 一戸でフォーラム

会場からの質問に答える講演者
会場からの質問に答える講演者

岩手県が有する三つの世界文化遺産の御所野遺跡(一戸町)、平泉(平泉町)、橋野鉄鉱山(釜石市)の取り組みを発表する「地域連携フォーラム」が22日、一戸町コミュニティセンターで開かれた。各地域の行政関係者が講演し、それぞれの遺産を守りながら、まちづくりや観光振興に生かす方策を紹介した。

 フォーラムは御所野遺跡が昨年7月、世界文化遺産に登録されたことを記念して企画。岩手大平泉文化研究センターや一戸町教委、御所野縄文博物館が主催した。3地域の取り組みを、関係者が一堂に会して報告するのは初の試み。町内外から約70人が参加し、興味深く耳を傾けた。

 平泉町観光商工課課長の八重樫忠郞さん、釜石市世界遺産課課長補佐の森一欽さん、一戸町教委世界遺産登録推進室文化財主任の菅野紀子さんが講師を務め、岩手大の菅野文夫名誉教授が進行役を担った。

 菅野さんは御所野遺跡を含む「北海道・北東北の縄文遺跡群」が遺産登録されるまでの経緯を振り返り、4道県の遺跡に関わるボランティア団体による交流がきっかけで、登録を目指す動きが生まれたと説明。

 遺跡のガイドや清掃活動などに取り組む町内の団体の協力も大きかったとし、「御所野遺跡が地域と共にあることが、世界遺産に登録された大切な価値だと思う」と強調した。

 登録後も、昨秋に町内で遺跡の魅力などに触れる「御所野縄文ウイークス」を企画したことを紹介。SDGs(持続可能な開発目標)をテーマに住民らが語り合う「miraiカフェ」も定期的に開き、「自然と共生する縄文人の知恵をヒントに、持続可能なまちづくりを考えている」と説明した。

 最後に講師が壇上に並び、聴衆の質問に答えながら、遺跡を生かした地域活性化などについて意見を述べた。八重樫さんは「平泉は遺産登録に向けた運動が始まってから、住民や事業者が協力して町の中をきれいにした。時間が掛かっても、みんなで一緒に取り組む先に未来がある」と強調した。

 森さんは「釜石では遺産登録後に観光に結びつけようとしたが、なかなかうまくいかなかった。一度増えた観光客を、どう維持して収益につなげるかも大事だ」と指摘した。

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