Free国内最古の縄文土面出土 八戸・一王寺遺跡 祭りや儀式で使用か

直径約8センチで、顔の形をしている。縄文時代の土面としては国内最古となる=12日、八戸市
直径約8センチで、顔の形をしている。縄文時代の土面としては国内最古となる=12日、八戸市

八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館は12日、同市是川の一王寺遺跡から、縄文時代中期前半(約5300~5100年前)の土面が出土したと発表した。土面は直径約8センチで顔の形をしており、祭りや儀式などで使ったとみられる。縄文時代の土面は全国で150点以上見つかっているが、国内最古。これまで徳島県で出土した縄文時代後期初頭(約4千年前)の土面が最も古かったが、今回はそれを大きくさかのぼる出土品で、学術的にも貴重な史料となりそうだ。

 一王寺遺跡は、世界遺産に登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」を構成する是川石器時代遺跡の一部。2019年から発掘調査を行っており、土面は今年6月中旬、一王寺遺跡の南部にある土器などの「捨て場」と想定される区域で、地表から深さ約20センチほどの場所で発見された。

 粘土を素材として焼成されており、厚さ1・2センチ、重さは約46グラム。右下部分は欠損している。表面には刃物で刺したような模様が施されており、粘土ひもで眉、穴で両目と口が表現されている。裏面は磨かれており、文様はない。

 同館は、表面の模様が縄文時代中期前半の「円筒上層c式土器」に見られる装飾技法であることや、同時期の土偶と似た顔面表現であることから、出土した土面も縄文時代中期前半のものとみている。

 同館の主事兼学芸員の宇庭瑞穂さんは土面の用途について、ひもを通す穴がないことや小型であることから、顔に装着するお面としてではなく、「祭りや儀式の場で、手に持って掲げるなどして使用されたのではないか」と見解を示した。

 工藤朗館長は「是川縄文館の開館10周年や世界遺産登録があった節目の年に、貴重な発見があったことをうれしく思う。今後も情報発信していきたい」と喜びを語った。

 出土した土面は、同館で開催中の企画展「装い―身を飾る人びと―」で13日から一般公開する。

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