Free五戸産アワ復活「雑穀栽培広まって」

移山寮で栽培されたアワ=2019年8月(山部商店提供)
移山寮で栽培されたアワ=2019年8月(山部商店提供)

高い栄養価や機能性がある雑穀。多種多彩な雑穀を扱う五戸町の山部商店(山部篤志店主)は昨年、五戸産のアワを復活させ、販売を手掛けている。山部店主によると、同町は戦前までアワやヒエの産地だったといい、「風土に合った雑穀は、縄文時代から続いてきた食文化。五戸で雑穀栽培が少しずつ広まれば」と期待を込める。
 青森県南や岩手県北などコメ栽培に適さない地域では昔、人々が寒さに強い雑穀を栽培し、食料にしてきた。さらに馬産地だった五戸地方では、アワやヒエの煮汁が牛馬の餌になり、わらが飼育小屋の保温材になるなど重宝されたという。
 最近は食物アレルギー対策や健康志向から雑穀は見直され、ブームが続いている。アワの場合、スープにしたり、炊いてチーズ代わりにする人もいるという。
 アワは日本最古の雑穀の一つとされる。同店ではこれまで、主に岩手県産を扱ってきた。一方、近年は栽培農家の高齢化による担い手不足で、入手するのが難しくなってきたという。
 そこで山部店主は2018年、岩手県葛巻町から種を取り寄せ、五戸町内での試験栽培に着手。同町の農家佐々木七代(ななよ)さん(72)に栽培を委託し、10アールで約50キロが収穫できた。
 19年は、佐々木さんが栽培した“五戸生まれ”の種を活用し、同町の多機能型障害福祉サービス事業所「移山寮」にも生産の協力を依頼した。栽培を工夫した佐々木さんは40アールで約570キロまで収量を伸ばし、移山寮は10アールで約90キロを収穫した。
 山部店主によると、アワは肥料などに掛かる栽培経費が少なく、天候や土壌に左右されない強さがある。収益もコメと同程度が見込めるという。一方、佐々木さんは「雑草管理や収穫作業に手間や難しさがある」と話す。
 同年の五戸産アワは、同店で1袋180グラム入り460円(税込み)で販売中。山部店主が店を継いで45年ほどだが、五戸産の取り扱いは初めてとなった。山部店主は「業者や個人問わず、アワは引き合いがある。五戸で栽培に挑戦する人が増えれば」と語る。
 問い合わせは、山部商店=電話0178(62)2760=へ。
移山寮で栽培されたアワ=2019年8月(山部商店提供)

 
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