Free【デジタル限定】知らなかった、障害のこと① 記者が疑似体験

講師を務めた川村暁子さん。笑いも交えながら、知的障がい、発達障がいについて解説してくれた=3月中旬、八戸市内

 1160万人。国民のうち、身体障害、知的障害、精神障害を持つ人の延べ人数だ。複数の障害を併せ持つ人もいるため、正確な数値とは言えないが、現代社会では国民の1割弱がハンディキャップのある中で生活している。

 ただ、障害のある人に接する機会がほとんどない人も多いはず。私自身がそうだった。2024年度、報道部で医療・福祉担当になり、1年間の取材を経て何らかの障害、ハンディキャップがありながらも懸命に生活する人、温かく支援する人、必死に理解しようとする人に出会った。今回紹介するのは、その中の1グループ、「かれいどすこーぷ」だ。知的障害や発達障害について正しく知ってもらおうと、八戸地域で10年近く活動している。

 障害がある人は、どんな苦労を抱えながら暮らしているのだろう―。記者である私が、同グループ主催の疑似体験会に参加した。

◆理解する心が「松葉杖」に
とあるお題について、記者が描いた絵。何が何だか分かるだろうか…
とあるお題について、記者が描いた絵。何が何だか分かるだろうか…

3月中旬、取材のため八戸市内で行われた疑似体験会を訪れた私に、講師として出席していた「八戸市手をつなぐ育成会」の川村暁子会長が「時間あるの? 体験していったらいいじゃない」と気さくに声をかけてくれた。ご自身の愛息に障害があり、地域の障害者支援活動に熱心に取り組んでいる。「かれいどすこーぷ」もそのうちの一つで、手をつなぐ育成会をはじめとした有志で結成。民生委員や認定こども園、市役所職員などに対して学びの場を提供してきた。

 体験会の冒頭、川村会長が語ったのは、目に見えない障害の苦悩。「知的障害、発達障害の人は、一見すると障害の有無や、何が困りごとなのかが分かりづらい。皆さんの理解や温かい心が、『松葉づえ』や『車いす』の代わりになってくれることを期待したいです」

 参加者には封筒が配られた。中には紙と鉛筆、プラスチック手袋2組と飾り付け用のちり紙の花。これらを使って、障害について学ぶという。

 最初に取り組んだのは、紙と鉛筆を使った体験。お題に合わせて絵を描いた。皆さんは、私が何を書き表したか分かるだろうか…。

 
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