Free【みちのく生き物観察記】セイヨウシミ

床の金具と同じような金属光沢の体が特徴のセイヨウシミ=階上町、3月
床の金具と同じような金属光沢の体が特徴のセイヨウシミ=階上町、3月

体長は8ミリほど。暗闇を好み隙間に潜り込む性質から、なかなか目にすることのないシミ(紙魚)だが、実は意外と身近に生息する。長い触角と6本の脚、そして尾糸と尾毛。金属光沢の体をくねらせて素早く動くことから気持ち悪がられるが、刺したりかんだりすることはなく人体への悪影響はほとんどないという。

 シミは原始的な特徴を持つ昆虫の一つで、この形で3億年あまり生き続けていると聞くと見方も変わる。銀色のうろこのようなものでおおわれ「きららむし」「箔虫」、欧米ではsilverfish(シルバーフィッシュ)と呼ばれる。源氏物語にも「しみという虫のすみかになりて…」とあり、反古の紙に巣くう虫として登場する。これはシミが書物や掛け軸などに使われるのりが好物なため。この対策に虫干しをすることから俳句の夏の季語になっている。

 シミには在来種のヤマトシミとヨーロッパ原産とされるセイヨウシミがあるが、外来種も現在では世界中に広がって、今回撮影したシミも頭部の形などからセイヨウシミのようだ。

 
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