Free【北奥羽の地名】耳ケ吠(みみがほい、階上町)/大蛇の耳を切った場所

北奥羽の地名
北奥羽の地名

国道45号沿いにスーパーマーケットやホームセンター、「道の駅はしかみ」などの商業施設が立ち並ぶ町の中心部。地域に残る大蛇の伝承が、地名の由来とされる。

 「はしかみ『かだる』会」がまとめた冊子「おらほのしきたり」によると、かつて階上岳の裾野にある大沼に、主の大蛇がすんでいた。沼のほとりには八戸へと通じる道があり、ある時、この道を行く若者が相次いで行方不明になった。

 青年が通り掛かると美しい娘が、娘が通り掛かると男ぶりのいい青年が待っていて、若者を惑わす―。それが大蛇の仕業だといううわさが流れ、長者の娘も消えてしまった。大蛇は狩人たちに退治され、耳を切り落とされたのが、この地区だったという。

 町内には「大蛇」「角柄折」など、この大蛇の伝承を由来とする地名が多数残っている。では、「吠」という字がついたのはなぜか。郷土史家の正部家奨さんは「冷たい風が『吠える』ように吹く、つまり、やませのことを示しているのではないか」と推測する。

 
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