Free女性の力で活動再び 250年超の歴史 松館神楽が4年ぶり春祈禱/八戸

八戸市内の個人宅で権現様を操る邨谷ちひろさん(手前)。男性主体だった神楽も変わりつつある

250年以上の歴史があるとされる八戸市松館地区の松館神楽が2月、4年ぶりに春祈禱(きとう)を行った。メンバー不足や新型コロナウイルス禍で活動が停滞していたが、昨年6月、地区外から40~60代の女性8人が加入した。松館では初という権現舞に挑む女性も2人おり、昨秋の新田城まつりや大館公民館まつりから中心メンバーとして活動。伝統ある神楽が、女性の力で再スタートを切った。

 松館神楽は、昔は春祈禱で種差、白浜まで足を延ばしており、八戸三社大祭の長者山新羅神社行列にも参加するなど活発だった。

 近年は新型コロナウイルス禍で活動ができず、いざ再開しようにも、高齢化と担い手不足が浮き彫りに。そこで、メンバーの番地杏紗さん(58)が地区外の友人に声をかけたところ、昨年6月から40~60代の女性8人が練習に顔を出すようになり、秋のイベントでは女性中心での発表ができるまでに成長した。

 大人の半数以上は女性となり、松館地区などで2月に3日間行った春祈禱では、邨谷(むらや)ちひろさん(58)と松坂虹子さん(41)が、男性メンバーと交代で権現舞を担当。各所で威勢の良い歯打ちを響かせた。

 重い獅子頭を操るため筋力トレーニングにも励むという邨谷さんは、「幸せや長寿などを願い、しっかり気持ちを込めてやった」と笑顔。松坂さんは「とても楽しい。権現舞をやると自分も元気になった気になる」と話した。

 女性メンバーの権現舞に、高山光夫代表(70)は「まだ50点」と厳しいが「(歯打ちの)音は良いし、重い権現様でよくやっている。女性の力を借りて“信仰の里”松館の神楽を守りたい」と、継承を誓う。

 
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