Free美術館の成り立ちや歴史学ぶ 八戸市美でトークイベント

これからの美術館の在り方について意見を交わす暮沢剛巳さん(右奥)と八戸市美術館の佐藤慎也館長
これからの美術館の在り方について意見を交わす暮沢剛巳さん(右奥)と八戸市美術館の佐藤慎也館長

八戸市美術館で開催中のコレクション展「美の殿堂 鈴木コレクション」の関連トークイベントが2月25日、同館で行われた。美術評論家で東京工科大デザイン学部教授の暮沢剛巳さん(青森県出身)が、国内外での美術館の成り立ちや歴史について解説し、約20人の参加者が興味深く聞き入った。

 同展は、美術コレクターだった地元の実業家鈴木継男さんと、妻のあじやさん(いずれも故人)が同館に寄贈した作品群を紹介しており、個人のコレクションが美術館の起源の一つであることに着想を得た構成となっている。

 暮沢さんは、コレクションを広く公開したという点で、美術館のルーツがフランスのルーブル美術館にあることや、2022年に国際博物館会議(ICOM)が、美術館を含む「博物館」の新たな定義を決定したことを紹介。多様性や持続可能性を育む場所であると新定義に記載されたことについて、「日本の美術館や博物館の活動にも影響を及ぼすのでは」と見解を示した。

 後半は、市美術館の佐藤慎也館長も話し手として参加。ICOMの新定義について、「条文では倫理的かつ専門性をもってコミュニケーションを図るということも述べられており、当館が目指す美術館像とリンクしていると思っている」と語り、暮沢さんと共に、これからの美術館の在り方などについて意見を交わした。

 
お気に入り登録