Free【北奥羽大雪】久慈の停電解消、住民安堵 洋野200戸復旧せず

長引く停電に非常用発電機を使ってしのいだ男性。復旧を喜んだ=29日午後、洋野町大野
長引く停電に非常用発電機を使ってしのいだ男性。復旧を喜んだ=29日午後、洋野町大野

記録的な大雪により岩手県北で続いている停電は29日午後7時現在、洋野町で約200戸が復旧していない。久慈市内の民家は同日夕方までに復旧した。電気が通った地区の住民からは「電気がある生活のありがたみが分かった」「電気がついた時はホッとした」など安堵(あんど)の声が聞かれた。

 最大で約3800戸が停電した洋野町だが、復旧は徐々に進んだ。27日午前から自宅が停電した同町大野の男性(70)は29日朝、知人から借りた非常用発電機で電源を確保。湯を沸かし風呂に入ろうとした午後4時前に電気が通った。「やっとで復旧した。感慨深くありがたい」と喜んだ。

 自宅前で雪かきをしていた同町種市の女性(74)は28日夕に停電が解消されたとし、「やっぱり電気がある生活は明るくていい」と安心した様子。

 同地区の男性(80)はラジオが見つからず、停電中に情報を得る手段がなかった。復旧後にテレビで状況を把握し「多くの所で停電していて驚いた。電化製品ばかりだと、こういう時に困るなあ」と振り返った。

 久慈市内で多くの世帯が停電した市南東部・久喜地区。地区の防災センターでは、市が前日に続いて携帯電話の充電サービスを行ったが、29日は復旧が進み利用がほとんどなかった。

 自宅周りの雪を片付ける近くの漁業男性(68)は「1日半は停電した。夜はろうそく生活だし、テレビも見られないから早く布団に入るだけ。28日は携帯電話も通じず、本当に困っていた」と話した。復旧は同日夕方といい、「携帯電話も通じるようになり、本当に“電気さまさま”だと思ったね」と笑顔を見せた。

 別の漁業男性(70)も「停電中に一番困ったのは、トイレの水を流せなかったことかな。寒さは厚着でなんとかしのいだ。やっぱり電気のない生活は考えられない」とうなずいていた。

 ただ、傾斜地に住宅が並ぶ同地区を通る県道長内野田線は、もともと道幅が狭い上、排雪が行われておらず、車1台通るのがやっとの状態。住民は「近くに雪を捨てる場所もないし、早く解けてほしいが」と別の不安を口にしていた。

 同市では1日、市民バスは積雪などのため、2路線で運休する。

 県などによると、29日午後3時半現在、県道安家玉川線の野田村玉川第2地割で通行止めを継続。県内の休校は小学校6校、中学校3校だった。

 
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