Free【北奥羽の地名】玉掛(たまかけ、南部町)/今はない「珠掛岩」に由来

北奥羽の地名
北奥羽の地名

南部町の南部地区にある大字。青い森鉄道の諏訪ノ平駅がある。南に馬淵川を望み、北側は山に囲まれている。

 美しい石を数珠のように掛けた岩「珠掛岩(たまかけいわ)」が川の中にあったことに由来するとされる。

 明治初めに地名をまとめた「新撰陸奥国誌」によると、珠掛岩は集落から東へ約100メートルにあり、周囲約150センチ、水上に60センチほどが見えていた。弾丸ほどの大きさの水晶のような石を周囲に巡らせていた。

 新撰陸奥国誌では、元々は往来の近くにあったが、洪水で岩が崩れ、川の深くに沈んだと説明。水中に潜ると見られたといい、「物好きなものが水に入って探り楽しむ」との記述もある。

 ただ、明治以降も幾度となく発生している洪水のためか、現在は珠掛岩を確認することはできない。どこにあったのかも分かっていないという。

 町史では、玉のような美しい石があった理由について「大昔に上流で生成された円形のれき岩が、川の流れが大きく屈折する場所(玉掛)で掘り返され、洗い出された」との見方も紹介している。

 
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