Free十和田市の礎、業績伝える  新渡戸十次郎の研究書発刊

研究所を発刊した、新渡戸十次郎開拓開業まちづくり顕彰会主宰の奈良哲紀さん
研究所を発刊した、新渡戸十次郎開拓開業まちづくり顕彰会主宰の奈良哲紀さん

現在の十和田市の礎となった三本木原開拓を主導した盛岡藩士・新渡戸十次郎(1820~67年)の業績を伝えようと、新渡戸十次郎開拓開業まちづくり顕彰会(奈良哲紀主宰)が研究書「新渡戸十次郎パラダイム」を刊行した。奈良さんは「十次郎なくして開拓はなかった。市民に十和田市の原点をつくった先人を思い出してほしい」と語る。

 十次郎は岩手県花巻市生まれ。世界的ベストセラー「武士道」で知られる新渡戸稲造は三男に当たる。藩の要職を歴任するとともに、父傳(つとう)が着手した三本木原の開拓に携わる。晩年は藩財政の再建に奔走したが失脚、47歳で亡くなった。十和田市内には、十次郎が手がけた未完の用水路「幻の穴堰(あなぜき)」が残っている。

 十次郎に特化した研究書として、顕彰会が1月15日に発刊した。八戸高専名誉教授の本田敏雄さんや、弘前大大学院地域社会研究科客員研究員の友田博文さんら計5人が執筆。それぞれの視点から先人の事績と思想を解説している。

 開拓を巡っては、傳の功績は広く知られる一方、十次郎の名前は埋もれている。奈良さんは「傳は開拓を始めた人物だが、当初は水路の確保までだった。先見性のある十次郎が都市計画や産業政策を思い描いていた」とし、十次郎が果たした役割を紹介した。

 書籍は149ページで、1冊1650円(税込み)。問い合わせは同市の幻の穴堰管理事務所=電話0176(26)2755=へ。

 
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