Free【能登半島地震】「教訓生かされていない」 八戸赤十字病院など活動報告

珠洲市の活動拠点本部で情報収集に当たる救護班メンバー=10日(八戸赤十字病院提供)
珠洲市の活動拠点本部で情報収集に当たる救護班メンバー=10日(八戸赤十字病院提供)

能登半島地震で甚大な被害があった石川県珠洲市や能登町に入り、避難所での被災者診療や支援に当たった、八戸赤十字病院と日赤青森県支部の救護班メンバーらが18日、同病院で会見し活動内容を報告した。発生から2週間以上が経過しても支援が不十分で、感染症や震災関連死が増加しているとして、紺野広院長は「今までの災害時の教訓が生かされていない」と憤りを隠さず、行政対応の課題を指摘した。

 救護班は、第1班が7~11日に珠洲市、第2班は14~18日に能登町に入り、それぞれ医師や看護師、薬剤師ら9人が、避難所での情報収集や被災者の診察、薬の処方などを行った。

 珠洲市に派遣された、内視鏡外科部長の藤澤健太郎医師は「市内全てのクリニックが診療できない状態。断水などの影響で基幹病院の市総合病院も医療破綻に至っていた」と報告した。

 被災地で直面する問題として、▽感染症の増加▽慢性疾患治療休止による災害関連死の増加▽精神疾患の増加▽余震によるインフラ整備の遅れ▽地元医療機関の破綻―の5点を挙げ、行政に対応強化を求めた。

 また、18日夕に能登町から八戸に戻った第2班で指揮を執った、医療社会事業部長の小笠原英治医師は「電気や携帯電話の電波は復旧しているが、上下水道はまだ。道路は壊滅的で物資が届かず、空路からも届けてくれないかと思った」と窮状を訴えた。

 紺野院長は厳しい寒さが続く現地の状況を踏まえ、「いまだに段ボールベッドが足りず、冷たい床で寝ている被災者がいるというから驚きを禁じ得ない。道路が悪くても救護班が被災地に入れたのだから対応できるはずだ」と強調した。

 
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