Free【北奥羽の地名】千樽(せんたる、六ケ所村)/大きな樽で温泉受ける

北奥羽の地名
北奥羽の地名

鷹架沼の西に広がる大正時代からの開拓地。山あいの畑に小集落が点在する、のどかな農村地帯だ。

 1997年発行の村史によると、地名の由来は「県道六ケ所・有戸停車場線の道路沿いに10数年前まで温泉が湧出し、地面に埋めこんだ大きな樽で受けていた」「たくさんの近所の人が樽で湯をもらいに来ていた」とある。
ただし、湯が湧き出ていた場所は、現在は不明という。

 17年3月、八戸市下長苗代の地主が国有地の払い下げを受け地区の開拓に着手。湯が出た近くに千樽豊神社が建立された。豊作を祈る神として天照大神を祭っており、地元では「お農神さま」と呼ばれる。毎年3月と9月の16日に例大祭が行われる。

 開拓以前に千樽の地名があったかどうか未確認だが、村立平沼小の元校長で東北町立蛯沢小校長の鈴木浩さんは、「たる」は古語で「滝」のほか、「くぼんだ地形」を意味すると指摘。千樽は「“たくさんのくぼんだ所がある土地”と解することもできる」と話す。

 
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