Free【北奥羽の地名】/仁左平(にさたい、二戸市)/アイヌ語「ヌサタイ」?

北奥羽の地名
北奥羽の地名

二戸市の東部に位置する仁左平地区。かつては「爾薩体(にさったい)」と言われ、現在の二戸郡や九戸郡、青森県南の一部にまで及ぶ蝦夷の一大本拠地だったと伝えられる。

 語源には諸説あるとされ、「二戸市の地名」(2007年、二戸市教委発行)によると、アイヌ語では「ヌサタイ(幣の林)」または「ニ・チャ・タイ(木・取る・林)」の意味が考えられる。

 幣とは神前にささげる布や紙のことで、「聖地のある林」という意味にもなるという。

 仁左平を語る上で欠かせないのが伝説の英雄「伊加古」の存在だ。伊加古は当時の爾薩体のリーダー的存在で、811(弘仁2)年、朝廷による蝦夷征討として約2万の兵とともにやって来た文室綿麻呂軍に果敢に立ち向かったとされる。

 民衆を守るために不毛な戦いをやめ、朝廷軍に降参した伊加古は地元で英雄とされ、現在は市道仁左平線を通称「伊加古ロード」と命名。市立仁左平小でPTA有志による紙芝居「仁左平の英雄伊加古」が披露されるなど、地域の宝として伝承されている。

 
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