Free天鐘(7月25日)

少し前の雑誌ニューズウイークに、中国人風刺漫画家の画が大きく載っていた。中国の若者たちの「日本アニメ愛」を表した1枚。中国で先月公開されたジブリ映画「千と千尋の神隠し」の大ヒットと熱狂ぶりを伝えていた▼海賊版ではなく、“正統な”形で劇場上映されるようになり、こぞって映画館に出掛けているのだとか。反日教育を受けて育ってもこれだけはやめられない。それほど日本のアニメが愛されているのに驚く▼引かれる理由は日本人と何ら変わらない。愛と勇気、心のつながり―。価値観が琴線に触れ、「温かく入ってくる」から何度も見るのだという。ジブリ作品だけでなく、新しい作品も熱烈に支持している▼国と国との関係は悪くても、文化では強くつながる。嫌悪の感情さえも、作品を介して好きの感情に転換していくのかもしれない。どんな外交術を試みても難しい技を、アニメはいとも簡単にやってのけている▼作品ゆかりの地を訪ねる「聖地巡礼」も広がった。ブームになるほどアニメを海外に浸透させたのが、今回の惨劇に遭った京都アニメーションだった。世界中から、深い悲しみと支援の声が寄せられている▼「悩んでいた時、京アニの作品に救われた」。米国の若者の一言が物語る。情熱と才能あふれるアニメーターたちが、どれだけ世界をつなげていたことか。あまりにも大きな存在を失ってしまった。