Free特殊詐欺90件、過去最悪 手口巧妙、幅広い年代で被害/青森県内、23年

特殊詐欺の認知件数と被害額の推移

青森県警によると、県内の2023年の特殊詐欺認知件数は29日時点で90件となり、11年の統計開始以降、最多を更新した。被害額は過去2番目の3億2414万円に上る。手口の巧妙化で、高齢者ばかりでなく、幅広い年代に被害が広がっており、県警は「インターネットやSNSなどが発達した今は誰もが被害に遭う可能性が高い」として注意を呼びかけている。

増えている手口は大手企業をかたって有料サイトの未納料金を請求したり、パソコンのウイルス感染除去費用を求めたりする架空料金請求詐欺。認知件数は過半数の50件(前年同期比31件増)で、被害額は7978万円となっている。

外国為替証拠金取引(FX)や暗号資産などの投資名目の金融商品詐欺も23件(20件増)と急増。被害額は2億1677万円で全体の約7割を占める。

警告音が流れ、ウイルスに感染したと表示される=4月、青森県内(県警提供)

29日は暗号資産の投資名目などの被害が県内で2件相次いだ。50代女性はインスタグラムで知り合った男性に投資を持ちかけられ、31回にわたり現金3410万円を振り込んだ。40代女性もSNSの「副業で稼げる」という広告にアクセスしたのをきっかけに124万円をだまし取られた。

県警捜査2課の今井貴美次長は「個別の手口を知らなかったという被害者が多い。さまざまな手口があることを広く知ってほしい」と指摘。年度末にかけては退職者を狙った金融商品詐欺も懸念されるといい、「犯人は巧妙に情報を吸い取り、それに合わせた文句でだます。個人情報は安易に答えないことが大切」と注意を促す。

認知件数増加の一方、金融機関職員やコンビニ店員が声かけによって被害を水際で阻止する未然防止件数は増えている。県警生活安全企画課によると28日時点で81件(29件増)となり、過去5年で最多を更新した。今井次長は「水際防止が増加しているのは良い傾向。一人で判断せず、誰かに相談してほしい」と話す。

 
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