Free漆の林、共に守り育てる 老舗筆記具メーカー、二戸市と協定

浄法寺漆の価値を重視し、協定を結んだ中田俊也社長(左)と藤原淳市長
浄法寺漆の価値を重視し、協定を結んだ中田俊也社長(左)と藤原淳市長

創業100年余りの老舗筆記具メーカー、プラチナ万年筆(東京、中田俊也社長)と関連会社の中屋万年筆(同)は7日、二戸市と「漆の林づくりパートナー協定」を結んだ。同日、市浄法寺町の市有地に苗木200本の植栽も行った。今後、市と協力して保全管理に取り組む。

 中田社長によると、両社で製造する高級万年筆の一部には、漆によるコーティングを施した物がある。中屋万年筆はオーダーメードの商品を1本平均10万円ほどで販売する会社で、蒔絵(まきえ)や螺鈿(らでん)などの技法を用いた特注品もあり、海外客からの引き合いが強いという。

 従来、漆の加工には主に中国産を使用してきたが、日光東照宮など文化財の修復にも用いられる浄法寺漆の希少価値に着目。協定を機に原木資源の確保に携わりながら、今後は両社の高級万年筆の加工にも浄法寺漆を使うことを目指す。

 市役所で、中田社長と藤原淳市長が協定書に調印した。中田社長は「地元で長く守られてきた本物の漆を残し、市と一緒に需要も伸ばしていけるよう取り組む」と強調。藤原市長は「万年筆も浄法寺塗の漆器も、長く使い続けることで味わいが生まれる。共に漆文化を守るため、関係を深めたい」と述べた。

 調印式後、中田社長らは市有地に移動。市立御返地小の児童約20人と一緒に、苗木を植栽した。

 市は2017年度から漆の原木確保に向け、企業や団体と連携し「漆の林づくりサポート事業」を展開。協定を結んだのは両社を含め12団体となった。

 
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