Free【北奥羽の地名】枇杷野(びわの、野辺地町)/「琵琶湖」起源の説も

北奥羽の地名
北奥羽の地名

野辺地町枇杷野には、滋賀県や京都府周辺の上方から野辺地に落ち延びてきた人たちが「琵琶湖」を懐かしんで名付けたのではないか―との説がある。

 近くには「琵琶野」地区も存在する。琵琶湖起源説を支持する元野辺地町観光協会会長の三上山一二さんは、まさに先祖が上方から移り住んだ一族の子孫だという。

 町外の人が枇杷野周辺に住み着くという話は、町に伝わる民話の中に残る。「夜泣き石」の話だ。

 ある日、13歳くらいの娘を連れた侍の親子が野辺地にやって来た。住民の助けもあり、しばらくは幸せに暮らしたが、父親は突然行方不明に。残された娘は一人泣き暮らし、やがて亡くなった。

 枇杷野川沿いには、人がうずくまっているような形の石が残る。今もせせらぎの中に「父様恋し、父様恋し」とすすり泣くような声が聞こえるという。

 親子の出自は明らかでないため、この民話と地名の起源をつなぐ証拠はないが、外から来た人がいるのは確かで、琵琶湖起源説も全く根拠のない話ではなさそうだ。

 
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