Free超高齢社会でも会員減、なぜ― 進む老人クラブ離れ、“若手”不足も

全国的に超高齢化社会を迎える中、地域に寄り添いながら高齢者の健康や生きがいづくりの場となる老人クラブの会員数やクラブ数は減少傾向にある。高齢層の雇用拡大や老人クラブ以外の活動の増加など多様なシニアライフの実現が背景にあるとみられる。八戸市老人クラブ連合会(上田武男会長)も会員数減少は同様の傾向だが、地域貢献や孤立化の防止などクラブが果たす役割はますます重要になっている面もあり、魅力をアピールしつつ、会員の増加を図りたい考えだ。
老人クラブは地域を基盤とした高齢者がスポーツや芸能、ボランティアなどの活動を行う組織。老人福祉法によって地方公共団体による援助対象団体として位置付けられ、1960年代に全国で相次いで結成された。90年代には全国で869万人以上が活動していたが、近年は徐々に会員数が減っている。

67年に設立された八戸市老人クラブ連合会も98年の1万625人をピークに会員離れが加速。2022年には3658人となり、3分の1程度まで落ち込んでいる。おおむね入会の基準となる市内の60歳以上の人口が約5万人から約8万5千人と大幅に増加しているのと反比例する形だ。
上田会長は「さまざまな要因があるが、一番は60歳が定年でなくなったことにある。60歳以上でも仕事をしている人が多くなった」と分析。民間のスポーツクラブなど趣味や娯楽が多様化し、老後の選択肢が増えたことも要因として挙げられるほか、「老人」という言葉に抵抗感を抱く人もいるという。
会員数の減少だけでなく、連合会は会員の高年齢化にも直面。現在の平均年齢は79・8歳だ。会場の設営などクラブの活動は会員同士が助け合って行っているが、60~70代の動ける年代が少ないことで活動自体の幅が縮小していくことも懸念され、“若手”の加入を期待している。
上田会長は「市内では100歳を超える人も所属するなどクラブの活動は充実している。魅力を多くの人にPRしていきたい」と力を込める。
さらに高齢化社会が進む中で、孤立化する高齢者も増加傾向とみられることから、活動に引き入れたい考えも示す。「『友達がいないから』と参加しない人も多いが、やってみれば楽しくなる。うちの中に閉じこもらず、適度な運動や社会参加で元気に過ごしてほしい」と呼びかける。