Free(35)「倒産」を考える 高坂健二・東京商工リサーチ青森支店長

倒産件数・負債総額 上半期推移(全国)
倒産件数・負債総額 上半期推移(全国)

「倒産」は、企業が債務の支払い不能に陥ったり、経済活動を続けるのが困難になったりする状態を指す。ただ、倒産に至るまでにはさまざまな原因があり、また、その後の処理方法も「法的倒産」と「私的倒産」に大別されるなど、いろいろなパターンがある。

 東京商工リサーチの集計では、2023年上半期の全国倒産は3年ぶりに4千件台(22年3060件、21年3044件)となった。青森県内における企業倒産も全国と同様、3年ぶりに30件台に増加した(22年21件、21年16件)。

 20年初め頃に新型コロナウイルスの感染者が出始め、その後緊急事態宣言の発出などもあり、一時経済が極端に停滞したことで倒産は増えるかに思われたが、実際その間の件数はかなり少なかった。企業に対する政府の手厚い支援策のたまものと言えるだろう。実質無利子・無担保で融資した「ゼロゼロ融資」、雇用調整助成金、その他各種補助金などで経済を下支えし、最悪期をしのいだ。

 ただ、ここからが問題である。もちろん、資金の出どころは基本的に国民の税金であり、特に「ゼロゼロ融資」においては将来的に返済を迫られるもので、まさに「その場しのぎ」である。

 東日本大震災発生当時も同様に、復興関連工事、その他政府の各種支援策によって倒産件数は減少傾向をたどり、11年上半期約6500件発生した倒産件数は21年上半期には3044件と10年で半減した格好だ。

 こうしたことから自然災害、疫病などの外的な要因が発生した場合、経済は鈍化するが、倒産は減少し、回復基調にある場面で倒産は増加する。

 これを踏まえると、23年上半期の倒産件数が増加したのは、経済が回復基調にあることを示す兆候と言えるかもしれない。

 23年上半期の倒産企業を改めて分析すると、人手不足関連倒産は67件で前年同期28件の約2・4倍に。また、同期間の飲食業倒産は過去30年間で最多となる424件を記録した。

 これらは密接に関係しており、人手不足によって人件費が上昇、さらに新型コロナによって恩恵を受けた時短協力金や手厚い支援が終了したことで、飲食業の倒産が急増したと言える。

 新型コロナの感染状況が改善され、飲食店に多くの客が訪れているように見えるが、実際はコロナ前の水準まで戻っていないと話す店主が多い。抜本的な経営改善が進んでいない中で、物価高、人件費高などで収益環境はコロナ前より悪化し、借りたお金を返済していく途中で資金繰りに詰まってしまうのは当然のことである。

 このような状況を踏まえると、今後ますます倒産件数は増加してゆくと予想される。

 
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