Free【北奥羽の地名】尻労(しつかり、東通村)/アイヌ語で“山の手前”

北奥羽の地名
北奥羽の地名

東通村北東部、桑畑山の太平洋側には、海岸段丘面に形成された「尻労」という名前の地区がある。

 1889(明治22)年の町村制施行で同村が発足する前は、尻労村として独立していた集落だ。歴史や地名などに詳しい元小学校長の三浦順一郎さん=むつ市=によると、尻労はもともと、「志利労(シリツカリ)」と表記されていた。

 地名の由来はアイヌ語で、「シリ」は山、「ツカリ」は手前の意味。“山の手前”にある土地柄から漢字が当てはめられ、アイヌ語独特の発音法で「シツカリ」と呼ばれるようになったという。

 青森県内には、アイヌ語が由来とされる地名は多いが、中には断定できない地区も。ただ、尻労は、北海道長万部町にある地区で、尻労同様に山の麓で南北に長い砂浜が続く「静狩」(シズカリ)と、地形や呼び方が酷似する。 

 三浦さんは、「尻労はアイヌ語が由来と断言できる」と強調。「かつてはアイヌ民族も住んでいたのだろう」と話す。

 
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