Free貴重な勧進帳5日から公開 9年ぶり春の例大祭も/二戸・天台寺

天台寺で一般公開される、岩手県有形文化財に指定された勧進帳の一部(二戸市教委提供)
天台寺で一般公開される、岩手県有形文化財に指定された勧進帳の一部(二戸市教委提供)

二戸市浄法寺町の天台寺が所有する歴史資料「紙本墨書(しほんぼくしょ) 天台寺本堂再興勧進帳」が岩手県有形文化財に指定され、5~7日に境内の収蔵庫「桂泉蔵」内で一般公開される。5日は9年ぶりに春の例大祭も開かれ、伝統芸能の披露や講演など多彩な企画が催される。

 市教委によると、勧進帳は1577(天正5)年に真言僧の榮澄(えいちょう)が記した物で、寺本堂の修理の必要性や費用の奉納を願う内容となっている。僧の行基(ぎょうき)が728(神亀5)年に開山したという記述があり、現代にも伝わる寺の由緒が、中世末において確認できる資料として価値がある。

 東北地方で現存する中世の勧進帳は少ない。現在の本堂が建立された1658(万治元)年より前の、寺の状況を伝える資料としても貴重だという。こうした学術的価値の高さが評価され、4月7日付で県の有形文化財に指定された。寺は多くの参拝客に勧進帳を見てもらおうと、期間限定で公開することにした。

 また、寺では本堂と仁王門の保存修復工事や、新型コロナウイルス禍の影響で休止していた春の例大祭を9年ぶりに再開する。5日は、名誉住職の故瀬戸内寂聴さんの晩年を支えた、秘書の瀬尾まなほさんが講演。伝統の天台寺舞楽やみこし渡御なども行われる。

 菅野宏紹(こうしょう)住職は「春の例大祭に合わせて公開する貴重な勧進帳を、ぜひ見ていただきたい」と来場を呼びかける。

 寺の拝観料は300円(高校生以上)。勧進帳に関する問い合わせは、二戸市教委文化財課=電話0195(23)8020=へ。

 
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