Free【猿楽の旅音日記】㉒「組曲 金田一温泉物語」結の巻~槐~

座敷わらしの里として有名な金田一温泉郷にある亀麿神社(楽曲のMVより)
座敷わらしの里として有名な金田一温泉郷にある亀麿神社(楽曲のMVより)

二戸市地域おこし協力隊の猿楽さんは、市内の風景や文化を音楽で表現する「旅音プロジェクト」を進めている。音楽家の感性で捉えた二戸の印象を、曲のイメージと共に紹介する。   

 ◇ 金田一温泉郷は、出会った人に幸せをもたらすとされる「座敷わらし」の里としても有名だ。組曲の最後の「結(ゆい)の巻」は、温泉旅館「緑風荘」の敷地にある、座敷わらしを祭った亀麿(かめまろ)神社で作った。

 旅館には座敷わらしが現れるという「槐(えんじゅ)の間」もある。槐はとても丈夫な木で、花言葉は幸福。座敷わらしのイメージに重なる、縁起の良い部屋名だと思う。曲名もここから頂いた。

 僕は2019年11月、地域おこし協力隊を募集していた二戸市を下見で初めて訪れた際、緑風荘に立ち寄った。亀麿神社をお参りし、宿に戻ろうとすると、枯れ葉が舞い上がって一斉にこちらへ飛んできた。一瞬、まるで小さな子どもから「一緒に遊ぼうよ」と言われているような不思議な感覚を覚えた。

 その後、協力隊着任が決まり移住した。温泉郷では、活性化を目指す団体「ワカス湯田エリアス」が発足し、僕は副会長に任命された。振り返ると、座敷わらしがこの地とつないでくれたような、何かしらの縁があったのかもしれない。

 完成した曲は、温泉で癒やされた旅人がまた次の目的地へ出発していくような、旅情感あふれる仕上がりとなった。馬淵川から飛び立つ鳥のように、軽やかに生きていく姿をイメージして聴いていただきたい。

 最後に少し、副会長としてPRを。昨年春に誕生したカダルテラス金田一が「現代の湯治場」をコンセプトに掲げるように、金田一温泉郷は心身を癒やし、健康にしてくれる場所だ。

 おしゃれなカフェや、おいしいランチを楽しめる店もある。音楽やフードマーケットなどのイベントも増えてきた。ぜひ訪れ、楽しい時間を過ごしてほしい。

 ※タイトル曲などのミュージックビデオ(MV)は、猿楽さんのサイト「にのへの旅音」で順次公開する。

 
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