Free【八戸市予算案】「子どもファースト」強化 医療費助成の所得制限撤廃

八戸市は2024年1月から子ども医療費助成事業の所得制限を撤廃する。子どもがいる家庭には朗報となりそうだ(写真はイメージ)=16日、同市の高橋こどもクリニック
八戸市は2024年1月から子ども医療費助成事業の所得制限を撤廃する。子どもがいる家庭には朗報となりそうだ(写真はイメージ)=16日、同市の高橋こどもクリニック

八戸市は2023年度、熊谷雄一市長が政策公約の柱に据えた「子どもファースト事業」の強化に乗り出す。子ども医療費助成事業は24年1月から所得制限を撤廃。新規事業には、18歳未満の市民を対象としたプレミアム付き商品券発行事業を組み込んだ。少子化や若年層の人口流出が加速する地方では、子育て支援の住民ニーズが高い。青森県内でも学校給食費の完全無償化といった負担軽減策を打ち出す自治体が増える中、「総合的支援」を掲げる八戸独自の子どもファーストで、市民の満足度を高められるかが問われている。

 市によると、23年度の子どもファースト関連事業は前年度から18増え、全33メニューを予定。予算規模は15億4千万円ほど拡大し、約27億7千万円と倍以上になった。市の機構改革案では「こども健康部」を新設し、施策を集約して事業の迅速化と効率化を図る。

 子ども医療費助成事業では、24年1月の診療分から所得制限を撤廃。中学生までの通院・入院費と高校生の入院費について、窓口負担分を全額助成する。新たに約1万人の子どもが医療費助成の対象に加わる。

 23年度の事業費は4億7千万円で、年度途中からの実施のため増額分は約2千万円。ただ、通年の場合は約2億3千万円の増額となり、総額は6億8千万円程度と見込まれる。市は予算確保の手法として、市民病院事業会計の決算剰余金の一部を増額分に充当する。

 母子健康診査事業では、▽新生児聴覚検査費用の助成▽乳児健康診査の補助を4回に拡充▽先天性股関節脱臼検診の無料化―を追加し、1歳までの各種健診費用を無償化する。子育て世帯の利便性向上のため、病児・病後児保育のインターネット予約サービスを県内自治体で初めて導入する。

 18歳未満が対象の「次世代エール商品券発行事業」は、1万5千円分の商品券を1万円で販売する。プレミアム率50%で、約3万6千セットを発行予定。開始時期は23年夏を目指す。

 近年は、全国の自治体が競い合うように子育て支援策を拡充しており、青森市は昨年10月から市立小中学校の給食費完全無償化をスタートさせた。八戸市でも実施を求める市民の声は根強いが、年間約8億5千万円と見込まれる予算の持続的な確保が難しく、市は現段階で否定的な見解だ。

 熊谷市長は16日の定例会見で、子どもファーストの23年度の展開について「総合的な支援として八戸市の特色を出した。経済的支援だけでなく、伴走型の寄り添う支援も必要」と強調。「子育て世代に市の施策を分かりやすく伝えることも重要になる」とし、情報発信に努める考えを示した。

 
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