Free変わらぬ味、最後まで 「とんかつ処 とん喜」(八戸)31日閉店

「とんかつ処 とん喜」店主の福尾學さん。感謝の思いを胸に調理場に立つ=17日、八戸市

1976年のオープンから市民に変わらぬ味を届けてきた八戸市沼館1丁目の「とんかつ処(どころ) とん喜」が、31日に店を閉める。皆のおなかを満たしたい―と、45年以上にわたって営業してきたが、店主の福尾學さん(82)が自身の年齢や店舗の老朽化などを考慮し決断した。福尾さんは「お客さまに恵まれ、こんなにも長く商売をしてこられた」と感慨深げに語り、「本当にありがたい」と感謝の思いを強くしている。

 とん喜は三沢市にあるとん喜の2号店として開店。間もなく板長を務めていた福尾さんが店を譲り受け、店名を残して切り盛りしてきた。

 岩手県産の三元豚を使った「とんかつ定食」が看板商品。バブル崩壊や新型コロナウイルス禍での外食控えなど、店の窮地は何度もあったが、味と共に値段も変えていないのが自慢という。豊富なメニューがあることでも人気を博す。

 ただ、多くの市民を迎える店舗の老朽化は深刻。自身の年齢が80歳を超えているのも鑑み、のれんを下ろすことを決断したという。

31日で閉店する「とんかつ処 とん喜」=八戸市

「1月いっぱいで閉店します」―。昨年末、店の入口に張り紙を出すと、その情報は、口コミや交流サイト(SNS)などを通じて瞬く間に広がった。

 市民からは「閉店は残念でならない」「寂しい限り」と、名残惜しむ声が上がり、現在は、知らせを聞いた客がひっきりなしに足を運んでいる。

 閉店まで約2週間。福尾さんは「よくここまでやってこられたと思う」と、半世紀弱の営業を振り返る。

 その上で「心残りは全くない。いい思い出ばかりだ」と、支えてくれた人たちへの感謝を胸に調理場に立つ考えを示す。

 「最後の最後まで、いままで通りの味をたくさんのお客さまに提供したい」

お気に入り登録