Free【後発地震注意情報】町内会や自主防災会、住民への周知に力/北奥羽地方

久慈市による大津波を想定した避難訓練。北海道・三陸沖後発地震注意情報を有効に活用するためには、住民の理解が欠かせない=2021年11月
久慈市による大津波を想定した避難訓練。北海道・三陸沖後発地震注意情報を有効に活用するためには、住民の理解が欠かせない=2021年11月

16日に運用が始まる「北海道・三陸沖後発地震注意情報」。東日本大震災の2日前に、マグニチュード(M)7超の地震を実際に経験しているだけに、青森県沿岸部の住民は「減災につながる」「(後発地震注意情報の)空振りはやむを得ない」と新たな制度をおおむね冷静に受け止めた。ただ、仕組み自体が広く浸透していないのも実情で、各町内会や自主防災会は効果的な運用を目指し、周知に力を入れる考えだ。

 「いたずらに不安をあおってもいけないが、空振りはしょうがない」。こう話すのは、八戸市の臨海部に位置する江陽地区自主防災会の田邊隆会長。

 注意情報の頻度は2、3年に1回程度と見込まれているが、その後、さらに大きな地震が発生する確率は100回に1回程度とされる。

 ほとんどのケースで後発地震が発生する可能性は低いものの、「空振りで良かったと思えるようになればいい」と田邊会長。住民への周知が重要―とし、回覧板などでの呼びかけを検討する。

 日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震では、県内で最も高い26・1メートルの津波が押し寄せると予想されている八戸。「津波避難では迅速な行動が大切。シミュレーションしておくことで減災につながる」と語る。

 三沢市の六川目自主防災会長を長く務め、現在は市内の小中学校で防災教育に取り組む一戸実さんは「震災から10年以上が経過し、あの時の怖さを忘れている人もいるのではないか」と懸念し、「注意情報が始まったことで、常に備えを確認できればいい」と、危機意識を高める重要性を訴える。

 気象庁はこれまでも、規模の大きな地震の後には一定期間、余震への注意を呼びかけてきた。新たな制度との違いが分かりづらいとの声も上がる。

 久慈市川崎町自主防災会の外舘裕会長は「住民も自主防災会も、後発地震注意情報について知らない人が多い」と明かし、「市が説明会を開くなどしてくれれば理解も進む」と、行政の対応を求める。

 震災では、沿岸部が津波による大きな被害を受けたことから、漁業関係者も実効性を注視する。

 卸売業を担う八戸魚市場の越後正幸常務取締役は「注意情報が出たからといって業務を止めることはない」としながらも、「人命第一であることには変わりない。余震の危険がありそうな場合には、気をつけながら業務を続けたい」と強調した。

 
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