Free【猿楽の旅音日記】⑨組曲天台寺 四ノ章~護摩~

天台寺で行われる護摩祈祷(楽曲のMVより)
天台寺で行われる護摩祈祷(楽曲のMVより)

天台寺の組曲、四ノ章は「護摩」をテーマに作った。寺では毎月の行事として、護摩祈祷(きとう)が行われている。参拝客らがさまざまな願いを書いた護摩木を住職の手で燃やし、不動明王に祈願するものだ。

 ただ、曲のイメージをつかもうと最初に護摩堂を訪れた時は、あいにく行事の日ではなかった。そこで、堂内に整然と並べられた仏具を眺めながら、ここで行われる護摩祈祷はどんな雰囲気かと想像してみた。

 やがて、意識は開かれた想像の世界へと飛ぶ。燃え上がる炎の熱で汗まみれになりながら護摩をたくと、雑念は消え去り、願いは清らかなものとなる。

 そこは涅槃(ねはん)かとも思えるように、沙羅双樹の花が咲く美しい景色で、この世の一切の悩みから解き放たれる。宇宙のように無限に広がる空間。過去、現在、未来と時空さえ超えている。その中で心の安寧や世の平和を願ううちに、音楽のイメージが降りてくる。

 こうして作った曲は、燃え上がる炎のごとく、力強く軽快なテンポで進む。願いを託す者と届ける者の思いが一つとなり、炎や灰に形を変え、天に昇るイメージで音楽を作り上げた。

 なお、幸いにも8月下旬、実際の護摩祈祷を見る機会に恵まれた。菅野宏紹(こうしょう)住職が真剣な表情で護摩をたく姿は、荘厳な雰囲気に包まれていた。ある種の心地よさを伴いながら、終始滞りなく進められた。

 既に曲のメロディーは出来上がっていたが、この時に撮影した行事の様子はミュージックビデオ(MV)でも紹介するので、楽しみにしていただきたい。(猿楽)

 ※タイトル曲などのMVは、猿楽さんのサイト「にのへの旅音」で順次公開する。

お気に入り登録