Free【北奥羽の地名】百鳥(洋野町)/集落の「山もも」評判に

北奥羽の地名
北奥羽の地名

【百鳥=ももどり】

 洋野町大野地区の北西部、久慈平岳の麓(ふもと)にある集落。地域に伝わる昔話によると、かつて集落に「山もも」のなる木がたくさんあり、近くを通る街道を行く人が実を味わって旅の疲れを癒やした。

 この山ももが評判になり、遠くからわざわざ実を採りに来る人もあったほどで、いつしか集落は「桃取」と呼ばれるようになった。

 江戸時代に天明の飢饉(ききん)が発生した際、人々が山ももをわれ先にと奪い取り、畑を荒らしていった。集落の農民は再び人が押し寄せることを恐れ、字を「百取」に変えた。明治時代に入り、いつの間にか「百鳥」になった―という。

 実際、藩政時代の百鳥地区は八戸藩の城下と久慈を結ぶ街道の中間に位置し、旅人の休憩地点だった。数十年前まで、「山もも」と呼ぶクルミ大の実がなる木も数多くあったという。

 ※ネット連載

 
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