Free幻の「秋田延伸」資料発見/1969年廃止の南部鉄道

南部鉄道の秋田延伸についての請願に添付された地図
南部鉄道の秋田延伸についての請願に添付された地図

五戸町の有志で組織する「五戸歴史研究会」の古谷義昭会長(81)がこのほど、かつて五戸町と八戸市を結んだ南部鉄道の秋田延伸を求める請願の新資料を発見、入手した。当時の有力者144人が署名、押印し延伸図も添付。地元の鉄道敷設に懸けた熱の高さがうかがえる。

 議員や沿線などの自治体の首長、経済関係者らが住所、生年月日とともに記名。尻内(現JR八戸)駅と秋田県の毛馬内(同十和田南)駅に至る「十和田横断鉄道」と銘打ち、景勝地の十和田湖を経由し青森の東北線と秋田の奥羽線を連絡することで、経済発展に大きく貢献するとしている。

 保存状態は極めて良好。ただ、時期は昭和4(1929)年の記載があるのみで日付は空欄。宛先も不明で、古谷会長は「本来は表に出ることのない“幻の資料”といえる」と説明、資料の希少性を語る。

 尻内駅―五戸駅間12・3キロを運行した南部鉄道は26(大正15)年に会社創業、29年に一部、翌30年に全線開業した。68年の十勝沖地震で施設が大打撃を受け、翌69年に廃止となった。

 同社側は開業当初から秋田延伸を想定。さらに、種差海岸へのルート延長計画のほか、三戸町や十和田市、東北町への延伸構想もあった。

 
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