Free【北奥羽の地名】錦の坂(洋野、軽米町)/馬「2匹」で上った難所

北奥羽の地名
北奥羽の地名

【錦の坂=にしきのさか】
 八戸市から洋野町大野地域へ通じる青森・岩手県道11号八戸大野線の、洋野町と軽米町の境にある坂。洋野町方面から軽米町方向へ向け、1キロ以上にわたって上り坂が続く。

 同県道は藩政時代の主要道「八戸街道」が基になっている。山間部を通るために坂が多く、数カ所の難所があったが、この坂もその一つだった。

 大野村誌では、「錦」という優雅な名は、実は「2匹」が変化したものだと記されている。大野から八戸へ馬車に物資を載せて運ぶ際、1匹だけでは坂を上ることができず、「2匹」で協力して引き上げたことが起源だという。

 特に春は、地表の雪解けに加え、凍っていた地中も解けてくるため、未舗装の道がぬかるんで馬車の運行は困難を極めた。

 大野地域で馬車が使われるようになったのは明治時代。坂の名は通称で、地域の人が口伝していたため、村誌編さん専門員は「戦後に自動車が普及して馬車を使わなくなると、本来の意味が忘れられ、似た言葉に変化していったのでは」と推測する。

 ※ネット連載

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