Free北奥羽の地名【諸味坂】/どんな由来?

【諸味坂=もろみざか】
 南部町斗賀地区(旧名川町)の北東に位置する、人けのない山あい。近くには、中世時代に八木田氏が築いた八木田館と呼ばれる小館があった。領内でも評判の美しい姫が住んでいたとされ、地名にまつわる不思議な伝説も残っている。

 「名川町の歴史」(金澤啓三郎著)によると、三戸南部氏の24代晴政と後に26代となる信直の身内争いのさなか、晴政は一貫して信直派だった八木田氏に対し、集落に火を放ち威嚇。八木田氏は、館を捨てて落ち延びたとされる。

 すさまじい火勢ととどろく敵の喚声―。気が動転した16歳の姫はそばにあった手おけを持って必死に走った。しかし、途中の坂で中身をこぼしてしまう。それがどぶろくのもろみだったため、諸味坂と呼ばれるようになったという。

 言い伝えの真偽は定かではないが、現在でも旧名川、旧福地の両地域に八木田の地名が残るほか、斗賀地区にはかつて町が焼けたことを裏付ける「町焼」という地名もある。

 ※ネット連載

 
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