Free【連載・世界のJOMONへ】第5部 迫る世界遺産登録(1)朗報

2021年夏の世界遺産委員会で登録可否の審査が行われる縄文遺跡群。9月上旬にはイコモスの現地調査が行われた=青森市の三内丸山遺跡
2021年夏の世界遺産委員会で登録可否の審査が行われる縄文遺跡群。9月上旬にはイコモスの現地調査が行われた=青森市の三内丸山遺跡

11月上旬、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響により、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会の開催が不透明さを増す中、朗報が飛び込んできた。延期していた2020年の同委員会を21年6~7月に開き、21年分もまとめて審議することが決まったのだ。

  元々、21年に審査を受ける予定だった「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、20年の委員会延期で22年以降への先送りが懸念されていたが、当初の予定通り、21年の委員会で合否が決まることになった。青森県内の遺跡関係者も気をもんでいただけに、来年の登録への期待が膨らむ。

 ただ、喜んでばかりはいられない。関係者によると、2年分の審議を一気に行う場合、十分な審議時間の確保が課題となる。議論が紛糾する懸念もある中、重要な鍵を握るのが、ユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)の「勧告」の中身だ。

 イコモスは、登録に向けたヤマ場である現地調査を既に終了。「勧告」内容は、来年4月末~5月上旬に明らかになる見通しだ。

 勧告の評価は▽記載(世界遺産登録に相当すると判断)▽情報照会▽記載延期▽不記載―の4項目で、委員会での決定はこの勧告がベースとなる。勧告評価が低くても委員会で上がる例は多くある一方、イコモスの評価が高いのに本番で下がった例はないという。 勧告で「記載」と評価されれば、世界遺産登録がぐっと近づくことになるが、「富士山」(13年登録、山梨・静岡)や「平泉」(11年登録、岩手)のように、特定の構成資産を外した上で「記載」と勧告された例もある。縄文遺跡群の場合、「1万年以上続いた縄文時代の生活を切れ目なく示す」という目的で選んだ構成資産17遺跡を見直すことになれば、価値そのものに影響を及ぼしかねない。

 県世界文化遺産登録推進室の岡田康博室長は「イコモスの考え方は想定の範囲内で、これまで順調にきていると思うが、『記載』となっても遺跡の数がどう評価されるかまでは分からない」と気掛かりな様子。

 ただ「委員会は最終的な決定の場。審査はユネスコの諮問機関であるイコモスが時間をかけて行っており、拙速に判断される心配はない」と強調する。

 国内にはさまざまな世界遺産があるが、地下にある古い時代の遺跡はまだ登録されたことがない。県など遺跡がある自治体には、現在もイコモスからの問い合わせがあるなど、実質的な審査は続いている。八戸市の是川縄文館の小久保拓也主幹は「今まさに審査されている時期で気が抜けない。ベストな態勢で取り組みたい」と気を引き締める。

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「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、21年夏の世界遺産委員会で登録の可否が審査される見通しとなった。念願の「登録の日」までどのような準備をし、登録後は何が必要なのか探る。

 
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