Free【情報滞留行政】記事まとめ「公表遅れ招く背景は」

「市民にとって重要な情報なのに市が教えてくれない。これはおかしい」―。そんな思いが私たちのスタートだった。

約32億円を掛けて建設した水揚げ施設「A棟」はほぼ使われず、国から補助金を返還される恐れがある。しかも、毎年5千万円前後の赤字が市民負担として重くのしかかっている。

にも関わらず、市水産事務所は情報公表に消極的な姿勢だった。既に国に一部補助金を返還したり、運営状況をまとめて国に報告したりしているのに、市民には1カ月近くも公表しようとしない例もあった。理由は「議会優先だから」

A棟に限らず、市政全般に見られる情報公開に対する市職員の低い意識。「議会の審議前に報道されると困るから」と本音を漏らす職員もいた。自分たちが知る前に情報が公表されると「議会軽視だ」と声を荒げる市議の存在も影響しただろう。議会との関係の中で長年にわたって築かれた両者の情報共有システムは、市民にとっては適時・適切な情報伝達を阻害する存在でしかない。

その一端を示す内部文書が本紙の情報公開請求で明らかとなった。「協議会」と呼ばれる月に1度の議会会合に提出する案件について、事前の取材対応などを控えるよう求める文書だ。

市は情報管理の一環としているが、課によっては拡大解釈され、協議会に提出する見込みとの理由で、情報公表を制限していた可能性がある。

小林眞市長は6日の本紙インタビューに、一律の情報規制につながっていた可能性を認め「文書の書き方が問題だったと認識している。今後はしっかり改める」との考えを示した。

情報公表に対する市の姿勢が改まるのかどうか。これからも私たちは厳しくチェックしていきたい。

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◇八戸市、A棟の赤字額を市議会閉会まで公表せず(9月10日)
https://www.daily-tohoku.news/archives/43167

◇A棟赤字額は5593万円(9月11日)
https://www.daily-tohoku.news/archives/43171

◇解説「今こそ古き慣習を改めよ」(同)
https://www.daily-tohoku.news/archives/43230

◇市議会各会派の代表に聞く(9月15日)
https://www.daily-tohoku.news/archives/43510

◇公表遅れ招く内部文書(10月1日)
https://www.daily-tohoku.news/archives/44835

◇A棟めぐる公表遅れが顕著(同)
https://www.daily-tohoku.news/archives/44836

◇有識者インタビュー 青森中央学院大・山谷清秀講師(同)

https://www.daily-tohoku.news/archives/44847

◇小林市長インタビュー「文書に問題あった。改める」(10月6日)

https://www.daily-tohoku.news/archives/45205

 

 
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