Free【北奥羽の地名】博労町(五戸町)/馬と関わり、名残とどめる

北奥羽の地名
北奥羽の地名

【博労町=ばくろうまち】

 昔から一大馬産地として発展し、名物の馬肉料理などが有名な五戸町。その中心部の一角に、「博労町」と呼ばれる地区がある。博労とは、牛馬の売買や仲介をなりわいとした人で、「馬喰(ばくろう)」とも書く。博労町やその周辺には藩政時代から戦前にかけ、多くの博労宿が存在した。

 このように、博労に由来して「博労町」と名付けられた場所は、富山県高岡市など全国各地にある。

 五戸の歴史に詳しい郷土史家三浦榮一さんによると、1803(享和3)年の歴史文献では、当時の博労町は「馬町」という地名だった。明治初期の文献には「馬喰町」との記載がある。三浦さんは「自分が子どものころの記憶では、一帯に多くの馬小屋が並んでいた」と懐古。「まちの姿や住んでいる人が変わった場所の一つ」と話す。

 今では、馬との関わりがほとんど感じられない博労町だが、馬肉の老舗「尾形精肉店」は、唯一その名残をとどめる。併設された料理店は高い人気を誇り、新鮮な馬肉の味を求めて多くの地元客や観光客が訪れている。

※ネット連載

 
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