「元理事の意見に期待」五輪汚職

 武藤敏郎氏
 武藤敏郎氏
 東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で受託収賄罪に問われた大会組織委員会元理事高橋治之被告(79)の公判が27日、東京地裁で開かれた。組織委の事務総長を務めた武藤敏郎氏(80)が検察側の証人として初めて出廷し「スポーツビジネスの知識や経験に基づく元理事からの意見に期待していた」と証言した。組織委側に意見を述べることは、被告の理事としての職務だったとの認識も示した。

 検察側は、高橋被告が組織委会長だった森喜朗元首相(86)からマーケティング担当理事としてスポンサー集めなどを任され、組織委に選定や迅速な契約締結などを働きかける権限があったとしている。

 武藤氏は、森氏が高橋被告にマーケティングを任せたとされる点について「聞いたことがない」と証言。高橋被告にどの業務を任せるかを森氏と話し合ったこともないとした。

 また、検察側に今回の事件の受け止めを問われ「多くの職員が努力し、東京大会に関わったことは良い経験だったと胸を張って言いたいだろうと思うが、現状では、はばかられることが残念だ」と語った。