Free八戸上空の謎の白い球体は、科学イベントの無線機? 静岡大・鈴木教授が見解

八戸市の上空で目撃された気球のような白い物体=3日午前5時15分ごろ、同市鮫町の大須賀海岸から(岩村雅裕撮影)
八戸市の上空で目撃された気球のような白い物体=3日午前5時15分ごろ、同市鮫町の大須賀海岸から(岩村雅裕撮影)

3日早朝に八戸市鮫町から目撃された上空の白い球体について、静岡大工学部の鈴木康之教授(無線測位)は6日、本紙の取材に対し、「電波の仕組みや上空の気流などを子どもたちが学ぶために、欧米で飛ばされた気球」との可能性を指摘した。気球からは何かしらの物体がぶら下がっている。昨年6月に宮城県などで酷似した気球が目撃された際も「謎の球体」として大きな話題となったが、正体は分からなかった。

 鈴木教授は無線に詳しく、本紙報道を見てツイッターで自身の見解を発信した。教授によると、近年、欧米を中心にアマチュア無線機を搭載した気球を飛ばす科学イベントが流行している。内容は小型気球に無線機を取り付け、上昇する様子を地上で解析したり、無線機の電波を頼りに、地上に落ちた無線機を回収したりするもの。

 気球の大きさは、膨らませない状態で高さ約2~2・5メートル。色は、白、半透明、銀の3種類がある。搭載する無線機は超小型で、10円玉を2個並べた程度。両側に数センチ四方の太陽電池がいくつも連なっており、広げた翼のように見える。

 通常は気球を揚げてから数時間で破裂するが、ヘリウムガスの量によっては気流に乗って地球を何周もすることがあるという。鈴木教授は「今回はこのケースではないか」と指摘する。

 気球は専用の地図サイトで7日前までさかのぼって位置を確認でき、8月31日に八戸市上空を気球が飛行した記録がある。米国アイオワ州に住むモーガンさんの気球が、モンゴル上空から日本海を横断して青森県上空を東に進んでいる。

 ただ、同市上空で目撃されたのは9月3日で、飛行記録とは日付が異なる。モーガンさんの気球と同一かどうかは確認できないものの、イベントでは多くの気球を一斉に飛ばすことがあるため、何らかの原因で電波を出せなくなった別の気球が、同じ地区を通過する可能性があるという。

 鈴木教授は「目撃された気球が確実にこれとは言えないが、気象観測機器でないとするならば、このようなイベントで飛ばされた気球の可能性がある」との見方を示した。

 昨年6月17日に宮城県などで気球が目撃され、大きな騒ぎとなった際も、イベント主催者の資料には13日に日本海を気球が通った記録がある。鈴木教授は「昨年も同じケースではないか」と推測した。

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