Free(31)無借金企業と赤字企業 齋藤成明・東京商工リサーチ八戸支店長

赤字法人率ランキング(昇順)と、無借金企業の割合
赤字法人率ランキング(昇順)と、無借金企業の割合

無借金と聞いた時のイメージとして、あまり悪いイメージを感じる人はいないのではないか。個人であれば、人生の段階ごとに自動車ローンや住宅ローンなどの借入金を利用するのは一般的である。企業においても、成長の段階において金融機関などから資金調達(借り入れ)を行っている。それは、新事業を開始するためや新たな工場を建設するためなど、企業によって理由はさまざまだ。

 東京商工リサーチが財務データを保有する企業の中から借入金が無い企業を調べたところ、2020年の無借金企業の割合は全国平均で21・65%だった。

 これに対し、青森県の無借金企業の割合は18・51%で、全国順位で40番目となっている。19年のデータを元にした調査でも順位は同じ40番目であった。無借金となるためには一定以上の利益蓄積が無ければ難しく、そのためには毎期十分な利益を確保することが必要となる。

 企業経営には、地震や水害といった自然災害による被害や取引先の倒産などをはじめとした不測の事態が付きまとう。いざという時に備えて金融機関との取引関係維持に借入金を利用している企業も多く存在するなど、無借金に対する考え方はさまざまであるが、経営の良しあしを判断する指標の一つには違いないだろう。

 一方で、国税庁が発表した税務統計によると、最新版である20年度の全国の赤字企業件数は186万4249社であった。赤字企業の割合は66・15%と、3社に2社は赤字となっている。その中で青森県の赤字企業数は1万1940社、割合は61・76%と、全国の都道府県の中で最も赤字企業の割合が低かった。

 過去5年間の統計の推移を見ても、赤字企業の割合が低い都道府県のトップ3に入っており、元々赤字の企業が少ない地域であることがわかる。

 ちなみに、赤字企業の推移を都道府県ごとに見ていくと、割合の高い方にも、低い方にも、常連として登場してくるところがあり、地域性を感じさせる。

 これらから見えてくるのは、青森県の企業は堅実な経営を行っていることから赤字の割合は低いものの、無借金企業となるだけの十分な利益を上げられていない姿が浮かび上がる。

 県民性と言うのか、県内企業の特性と言うのか、この様な統計にも地域ごとに企業の傾向が現れてくるのだから興味深い。

 
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