Freeウクライナの実態、自身の言葉で 南部町に避難の女性、佐井中で講演

ウクライナの現状などを説明するテチアナさん
ウクライナの現状などを説明するテチアナさん

ロシアのウクライナ侵攻に伴い、南部町で避難生活を送っている20代女性のテチアナさんが16日、佐井村立佐井中(工藤秀吾校長)を訪れ講演した。罪のない市民が戦禍に巻き込まれる戦争の実態を自身の言葉で懸命につづり、一日も早く平和な生活を取り戻すことを希求。さらに、「日本への敬意を一生忘れることはない」と感謝の言葉を繰り返した。

 人権教育に力を入れる村が主催した。テチアナさんはキーウ(キエフ)出身。昨年10月に一家5人で南部町に避難した。講演会には同校の1~3年生の26人が出席した。

 軍事侵攻に対し、テチアナさんは「(ウクライナが)独立した国家として存在することの否定」などと非難。「多くの民間人が殺害され、子どもの犠牲者も多い。軍事施設ではない民間の建物もミサイルで攻撃されている」と続けた。

 日本に避難し「恐怖から解放され、安全に暮らすことができた。正しい決断だった」とし、「日本人は世界で一番親切。生活のためのいろいろな準備をし、何も知らない私たち家族を助けてくれた」と語った。

 ウクライナの音楽や有名スポーツ選手、観光名所なども紹介。生徒との質疑応答で好物を問われ「(佐井村で)ウニを食べたら、おいしかった」と、笑みをこぼす一幕もあった。

 講演を聴いた内藤舞桜さん(15)=3年=は「ウクライナのため、自分に何ができるか考えたい」と感想。伊藤大晴さん(14)=同=は「恵まれた環境の日本を自分たちの手で大切にしたい」と力を込めた。生徒会長の東出果歩さん(15)=同=は「今までニュースでしか見たことがなく想像しにくかったが、直接話を聞くことができた。同じ青森県内で、戦争で困っている人を助けているのはすごいと思う」と話した。

 
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