Free(21)世代間ギャップ 松田英嗣・あおもり創生パートナーズ取締役

日本の経済成長率長期推移(実質前年度比)
日本の経済成長率長期推移(実質前年度比)

記録的な桜の早咲きもあり、まつり期間を前にして弘前公園周辺では観光客が増え始めているという。コロナ禍の3年間に抑制されていた観光需要がここにきて一気に回復基調に向かっているとみられ、喜ばしいことではあるが、観光消費額拡大の観点からみると大型連休と桜の満開が一致することが望ましい。

 桜の開花時期は天候条件により大きく前後するが、新社会人の職場デビューはおおむね4月1日と相場が決まっている。毎年この時期には、県外への就職などに伴い多くの若者が青森県を後にすることから、本県の人口減少問題に大きな影を落としている。そんな中、県内での就職を決めた新社会人はまさに現代版「金の卵」であり、大きく育てることが肝要である。

 とはいえ、新社会人を受け入れて育成する立場からは世代間のギャップに悩む向きも多いと聞く。世代による特徴を理解する手助けとなるものに世代論があるが、今年の新社会人は「後期ゆとり世代」と呼ばれ、日本経済がほとんど成長しない時代しか知らない世代である。また、ワークライフバランスを重視し、横のつながりや共感を大切にする傾向が強いとされる。

 そんな新社会人の間で、ひそかに「上司ガチャ」という言葉が使われている。上司ガチャとは、どんな上司の元に配属になるかは運次第であることを指す言葉であり、「上司ガチャにはずれた!」とか「上司ガチャ大当たり!」といった使い方をする。

 ちなみに「ガチャ」とは、硬貨を入れハンドルを回すとカプセルに入ったオモチャが出てくる小型の自動販売機を表す「ガチャガチャ」や「ガチャポン」(正式名称は、カプセルトイ)に由来する。どんなオモチャが出るかは運次第であることから、自分の努力や希望の及ばない運要素で決まってしまうことを「〇〇ガチャ」と呼ぶらしい。

 一方、ガチャの対象とされる上司であるが、「バブル世代」と呼ばれる50歳代や「団塊ジュニア世代」と呼ばれる40歳代が中心層となる。ちなみにバブル世代は、バブル景気と命名された好景気下の超売り手市場の中、社会人デビューした世代であり、長時間労働に疑問を持たず勤務時間外も仕事の付き合いに縛られるのを当たり前のこととしてきた世代である。

 団塊ジュニア世代は、就職氷河期と呼ばれる景気後退局面の厳しい就職戦線を乗り切った世代であるが、入社早々から業績悪化やリストラの波にもまれ、危機意識が強い世代とされている。

 このように、いつの時代も職場はさまざまな世代で成り立っているが、異なる世代への違和感を解消するためには、各世代の特徴を把握することが役に立つ。ビジネスシーンや商品開発の場面でも有効な武器になることだってあるかもしれない。

 最後に、新社会人を受け入れた上司の皆さまにおかれては、褒めたつもりで「部下ガチャ、大当たりだ」などとウケを狙ってはいけません。「○○ガチャ」は新社会人たちが横のつながりの中で共感を得るために使用される言葉であり、親世代の上司から言われても違和感しか覚えないはずですから。

 
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