Free【北奥羽の地名】目時(三戸町)/アイヌ語「メントケ」から

北奥羽の地名
北奥羽の地名

【目時=めとき】

 三戸町郊外の目時地区は、馬淵川を挟み二戸市との県境に近い農村地帯。同川に架かる青岩大橋を含む国道4号は、多くのトラックやマイカーが行き交う幹線道路だ。

 同町郷土誌稿によると、地名の由来はアイヌ語で沼や泉を意味する「メントケ」が変化したとされる。同地区では石器や縄文式土器が出土しているが、同誌では「これという資料がなく、遺跡も見当たらない」と詳細には触れていない。

 国道4号から県道を1・3キロ進んだ突き当たりにある目時駅。青い森鉄道南端の無人駅だが、駅設置には苦難のエピソードが残る。

 1891年に東北本線が開通し、当時留崎村だった同地区はリンゴ、タバコ、養蚕などの生産が活発化。しかし駅がないことから発展に後れを取ったという。大正末期から住民一丸で駅設置運動を展開するが実らず、昭和に入り太平洋戦争の物資輸送を理由にしても実現しなかった。国鉄目時駅ができたのは、1948年10月。東北本線開通から57年後のことだった。

 
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