Free【北奥羽の地名】坪(七戸町)/県南最古「都母村」が由来

北奥羽の地名
北奥羽の地名

七戸町の旧天間林村に「坪」という集落がある。一帯には坪川や坪橋があるほか、坪姓も見られる。一般的には面積の単位としておなじみだが、文献によると、蝦夷(えみし)が暮らしていた当時の地名が関係しているようだ。

 天間林村史は、青森県南地方で歴史に登場する最古の地名は都母(つも)村―とし、「今の天間林村(当時)の坪を中心とする広大な土地を指している」と記す。「つも」が「つぼ」となり、当てる字も変化したということらしい。

 その上で、坪に近い小又集落からは奈良時代ごろのものとみられる須恵器や鉄製のおのなどが出土していることから、この地に住んでいた人々は、中央の優れた文化を吸収しながら、狩猟や馬の放牧なども行っていたであろう―と推測する。

 一方、都母に含まれていたであろうお隣の東北町では毎年、都母の一族が五穀豊穣(ほうじょう)、無病息災、戦勝祈願の祭祀(さいし)で、たいまつに火を付け、祈りをささげたとされる風習を再現しており、10本の巨大たいまつが夜空を焦がす神秘的な祭りとして定着している。

 
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