Free【羽生さんショー千秋楽】「まだ見ぬ本編に期待を」 ゆかりの地、八戸で飛躍誓う

東日本大震災の鎮魂や八戸市への思いも込めながら滑った羽生結弦さん。観客は万雷の拍手でたたえた=5日、フラット八戸(写真・岸山浩之)

「皆さんの前で滑ることができて、これ以上ないくらい報われている」。5日、プロ転向後初の単独アイスショー「プロローグ」の千秋楽を八戸市で迎えた羽生結弦さん(27)。観客席を埋めつくした約3千人のファンに、「この景色は二度と見られないと思っていた」と万感の思いを口にした。この日は、東京ドームで行う新たな単独公演も発表。プロとして歩む道のりでの飛躍を誓い、「“プロローグ”は終わるが、まだ見ぬ本編に期待してほしい」と宣言した。

 総合演出も手掛けた羽生さん。ショーには、競技選手時代に演じたプログラムに加え、2011年の東日本大震災の経験や、被災地への思いも盛り込んだ。

 「それぞれが震災の記憶や傷を持っていると思う。皆さんと前を向いて進んでいけるよう、自分にできることを続けたい」

 フィナーレの地となった八戸は、震災の影響で地元を離れ、一時的に練習拠点としたゆかりが深い土地。公演の中盤に披露した「悲愴」は、同市のテクノルアイスパーク八戸で作り上げ、11~12年シーズンで使った曲で、「どうしても滑りたい」と演目に入れたものだった。

(写真・岸山浩之)

「(当時は)節電中で、天井を少しだけ開け、日の光だけで練習していたのを思い出す」と振り返った羽生さん。鎮魂の願いを込め滑り切った後の取材には「お世話になった八戸で生まれたプログラムを演じることができ、感慨深い」と、かみしめるように語った。

 会場のファンからのリクエストで決まった曲も含め、全ての演目を終えると、羽生さんはリンクを何周もしながら手を振って応えた。

 1曲1曲が終わるたびに総立ちで拍手を送った観客は、応援メッセージが書かれた横断幕を掲げるなどして祝福。10年来のファンで、栃木県から訪れたという主婦の野口美佐子さんは「この世のものとは思えない美しさだった。演技だけでなく人柄も素晴らしくて、心から尊敬している」と感無量の様子を浮かべた。

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