Free食べる昆虫、売り切れ続出 三沢の自販機人気、八戸進出も

青森県内に初めて設置された「昆虫食」の自動販売機。物珍しさも手伝って注目を集めている=8月上旬、三沢市
青森県内に初めて設置された「昆虫食」の自動販売機。物珍しさも手伝って注目を集めている=8月上旬、三沢市

コオロギにシルクワーム(カイコの幼虫)、グラスホッパー―。三沢市中心部のスカイプラザ前に設置されている「昆虫食」の自動販売機が話題を集めている。5月下旬に青森県内で初めて設置されて以降、物珍しさや怖い物見たさも手伝って売り切れる商品が続出。想像以上の反響を受け、設置会社は8月中旬にも八戸市に2台目を導入する予定だ。

 昆虫食は、とっつきにくい見た目とは裏腹にタンパク質を豊富に含むなど栄養価に優れ、世界では重宝される。

 自販機を設置したのは、電子商取引(EC)サイトで商品を販売する十和田市の合同会社フェスグラント。代表社員の金見学さんが昆虫食自販機の設置事業を手がける福岡県の知人から話を聞いたのがきっかけだ。米軍基地があり、多様な文化に寛容な三沢を最初の設置場所に選んだ。

 自販機にはコオロギのほか、タランチュラやサソリ、オケラなどがずらり。タガメのエキスを抽出した「タガメサイダー」「幼虫ミックス」、初心者向けにチョコレートでコーティングした「チョッコバッタ」など30種類を取りそろえる。

 本来の味を楽しめる素揚げが基本といい、コオロギはエビなどの甲殻類の味に似ている。価格はボトル1本で600~2400円ほどだ。

 ただのげてものや際物と侮ってもいられない。昆虫の豊富なタンパク質に着目し、世界では食糧難問題の解決につながる―との見方も。金見さんは「肉牛飼育や魚の養殖に比べて生産にかかる手間や二酸化炭素排出量は圧倒的に少ない」とし、「SDGs(持続可能な開発目標)にもつながる」と強調する。

 実際に山形県新庄市では地域活性化をにらんで食用コオロギの養殖に取り組んでいる企業もある。フェスグラントでは、この企業と取引や共同研究を行う計画が進んでいるという。

 「人々の価値観やニーズは変化し続ける。主食といかなくとも日本でもサプリのように昆虫食が普通に受け入れられる時代が来るかもしれない」と金見さん。昆虫食の可能性は“ムシ”できない。

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